Story
あなたは隣人の“顔”を本当に思い出せますか…
のっぺらぼう【野箆坊】
古来より八百万の妖怪が巣くう日本において「のっぺらぼう」の起源は極めて古く、 紫式部『源氏物語』「手習」の中にも「昔いたという目も鼻もない女鬼…」との記述がみられる。 その生態は極めて謎に包まれてはいるものの… 1000年以上もの昔から、人間社会にひっそりと身を潜めつつ、本当の自分の顔を探しながら生き続けてきたと云われている。
現代の「のっぺらぼう」
古い団地のアパートの一室で身を寄せ合いながら静かに暮らしていると云われてきたが… 人の顔が剥される一連の猟奇的事件をはじめ、 近年、その沈黙を破り「のっぺらぼう」が動き出したとの噂が流れ始めている。 鳴りを潜めていた 彼らの現出については諸説語られているが、現代人に警鐘を鳴らすべく活動を活発化させたという説が有力である。
デジタル&バーチャル世界の隆盛やSNSの普及に伴い、人と人が、顔と顔を合わせて触れ合う機会も少なくなり、更には、自らの顔を加工して偽りの顔を晒す人々が増えた昨今、個々人が自ら作った「虚構」の顔だけが、世間に蔓延しているといっても過言ではない。 何千年も本当の自分の顔を探し続けている「のっぺらぼう」だからこそ見据えることのできた現代社会の闇。 恐怖をまとった彼らからの戒告が、今、まさに始まったのかもしれない…